アメリカでハリケーンの被害のニュースを見るたびに「大変な被害だな……。」と思いつつも、報道になんか違和感を感じたことありませんか?
「アメリカのカトリーナが猛威を奮ってミネソタ州に上陸しました……」っていうニュースに「カトリーナさんが異常な暴れ方で、ミネソタ州に入り込んできたの?」って勘違いしたこともありましたが、これってハリケーンの名前なんですね。
ということで、今回は「なぜハリケーンってアメリカの女性の名前なの?」という疑問を払拭すべく、名前の由来などを調べてみました。
まず、ハリケーンの名前についてお話しする前に、台風、サイクロン、ハリケーンの呼び名の違いについて説明しておきますね。3つの呼び名は、トロピカル・サイクロン(強烈な低気圧)の発生場所によって違ってくることになります。
サイクロンとは、低気圧を意味する一般的な英語です。北インド洋や南インド洋で発生するトロピカル・サイクロンを単にサイクロンと言うことがあります。
ハリケーンは、北部大西洋、東部北太平洋、中部北太平洋、南東太平洋で発生するトロピカル・サイクロンに付けられる名前です。台風は北西太平洋に発生するトロピカル・サイクロンのことですね。
それでは、ハリケーンと女性の名前の関係について、詳しく見ていくことにしましょう。
なぜアメリカの台風の名前には女性名が多い?
改めてハリケーンには女性名が多いのは皆さんご存知でしたか? 実は、男性の名前も使われているのですが、なぜか印象に残るのは女性名の方が多いんですよね。例えば、ニューオーリンズに甚大な被害をもたらしたカトリーナなどは記憶に新しいところです。古くは、1957年にオードリーという名のハリケーンが猛威を振るったことがあります。
1950年以降、アメリカに大きな被害をもたらしたハリケーンの名前を上記以外でざっと拾い出すと、ドナ(1960年) 、カーラ(1961年) 、カミール(1969年)、アンドリュー(1992年) 、リタ(2005年)など、女性名が目立ちます。
これは、1940年代頃から1979年までは、ハリケーンに女性名のみが付けられていたということも原因しています。また、ある研究者は、女性名の方が男性名より安心を与える印象があり、それだけ避難や対策がおろそかになるからではないかと指摘しています。実際、男女の名前が使用されるようになった1979年以降も、女性名のハリケーンの方が被害が大きくなる傾向にあるのです。
くれぐれも、ハリケーンに付けた女性の名前に激しい性格があるからではないかと、誤解を招くような解釈をしないでくださいね。
アメリカのハリケーンは、ハンパなく規模がデカイですよね!竜巻風の強烈な風が吹くのも特徴です。
▼イリノイ州で巨大ハリケーン発生 2013 [アメリカ]
女性っぽい名前が使われる理由が意外だった
皆さんは、関東や東北に被害をもたらした昭和22年のキャサリン台風(台風9号)、関東に被害を与えた昭和24年のキティ台風(台風10号)の名前を知っているでしょうか?これらの台風にアメリカ風の名前が付いているのが不思議ですね?
以前のアメリカでは、上陸地や聖人名にちなんでハリケーンに名前が付けられていたようですが、1940年代頃からハリケーンに女性の名前が付けられるようになりました。日本に影響を与えた台風にキャサリンやキティの名前が付いたのは、戦後日本がGHQに占領されていた時期だったからなんですね。
アメリカでなぜハリケーンに女性の名前が用いられたかは諸説ありますが、一説ではジョージ・スチュアートの「ストーム」という人気小説の影響だろうと言われています。
この小説は1941年に発表され、小説の中で「マリア」と名付けられたストームが描かれました。それを気に入った軍関係の気象学者が、こぞってハリケーンに女性の名前を付けるようになったようです。なぜ女性の名前なのか理由ははっきりしませんが、親しみやすくするためとも言われています。
こうして1953年頃からハリケーンに女性名がよく使われるようになりましたが、1979年以降は、女性軽視などの理由から、男性の名前も使用されるようになりました。
そんなアメリカの台風の名前を考えてるのは誰だ!?
ハリケーンの名前は、マイアミにあるアメリカ海洋大気圏局ナショナルハリケーンセンターか、ホノルルにある中部太平洋ハリケーンセンターのどちらかが決めています。
だいたいハリケーンの名前は、読みやすくて、スペルが簡単で、発音しやすいものが選ばれるようです。現在では、A〜Wまでのアルファベット順に1年に1組のリストが6組用意されていて、それを6年周期で利用する方式がとられているようです。ですから、次発生するハリケーンにどんな名前が付けられるのか分かっていることになります。
そのリストの中で、「永久欠番」になるリスト名があります。こちらは、スポーツ選手のように輝かしい功績で特別扱いされるのではなく、甚大な被害をもたらしたハリケーンとして、リストから「永久欠名」となります。その名を繰り返し使わずに、自然災害の歴史の中に刻まれる特別な名前にするのですね。
2005年8月末にアメリカ南東部を襲った大型ハリケーン・カトリーナや、同年9月下旬に再びアメリカ南東部に上陸した大型ハリケーン・リタは永久欠名となっています。カトリーナはカティア、リタはリナという名前に代わるようです。
アメリカの台風の名前はなぜ女性っぽいのか まとめ
アジアでも台風に名前を付けるようになっているのをご存知ですか? 南シナ海や北太平洋周囲の14ヵ国からなる台風委員会というのがあって、各国が提案した名前を順番に付けていきます。この名前は人名ではなくて、いろんなモノの名前が採用されるようです。
マカオのバビンカ(プリン)、韓国のノグリー(たぬき)、タイのチャバ(ハイビスカス)などは親しみがわきますね。日本はだいたい星座から名前をとっているようです。テンビンとかヤギとかウサギといった名前があります。
ハリケーンの女性名もアジアで付けられる台風の名前も、どこか自然の怒りを鎮めようとする人間の祈りが込められているように思えますね。