意外と知られていない事実。
私(筆者)はよく趣味で旅行に行きます。家族はもちろん、友人とも一緒に遊びに行くことが多いんですよね。
そこではいつも旅館に泊まるのですが、初めて旅行に参加した友達がこんな事を聞いて来たのです。
「浴衣ってさ、どっちが前なの?」
そうなんですよね。普通、日常的に浴衣は着ませんし、今まで和服を着た記憶がない人も少なくないでしょう。初めてだと、どっちが前なのか解りませんよね。
さらに、
これがまたややこしいったらありません!
そこで今回は初めての人にも解るよう、浴衣は「右前」「左前」どっちが正しいのか? そもそも「右前」「左前」とは何なのか? こちらをご説明していきたいと思います。
目次
浴衣のあわせ衿は「右前」「左前」どっち?
浴衣の基本を知ろう!
繰り返しになりますが、浴衣を着る時に気になるのが……右が前になるのか? それとも左が前になるのか?
浴衣のあわせ衿ですが、正しいのは「右前」と呼ばれる着方になります。
と説明すれば、
「なるほど!右が前なんだね」
と、左のあわせ衿を肌にくっつけ、右側が上に来るように着てしまいますよね。
でも待ってください……実はこれ、逆なんです!!!
「右前」と言われますが……
これが正解なんです。
どうして「右前」と呼ぶのに左が外側、つまり前に出て来るのか? これについては後ほど、詳しく説明していきたいと思います。
やっぱり男女によって違うの?
そして気になるのが、男女で違うのか? ということ。
例えばボタンなどを見てみると、男女によって逆になっている事が多いですよね。
「男性なら右側にボタン」「女性なら左側にボタン」という風に。
ではやはり、着物も同じなのかな?
と思われがちですが、着物の場合は……
になるのです。これは着物側が違うというよりも、世界の服の歴史に答えがあるみたいですね。
また、ボタンの付き方も明確に定義されているわけではなく、特に決まりはなくてファッションによって違うとの事。
服にはいろんなルールがあったりなかったりしますが、浴衣や着物の場合、必ず「右前」になると言う事を覚えておきましょう。
浴衣の着付けなど、実際に見てみたい方はこちらの動画もチェックしてみてくださいね。
▼男の着物着付け きもの編 高画質HD
どうして右前じゃないといけないの?
左前だと○○の着方に
では、どうして右前じゃないといけないのか。
これは厳格に決まりがあったというより……
と言われていたからなんですよね。
古い時代の日本画を見てみると、幽霊や妖怪を描いた場合は左前で着ていることが多いのだそうです。興味がある方はチェックしてみるといいかもしれませんね。
これは一説によると、死者に生者とは真逆の着方をさせる事で、この世の者ではない事を表しているのだそうです。
ちなみにこの考えは日本独特の物らしく、先程のボタンのように女性は左前になる事が多いらしいですよ。
どうして「右前」と言うの?
さて、気になるのがこの「右前」という呼ばれ方です。
多くに人が勘違いするように、着物は「右前」とは言いますけれど、実際に着てみると左が外側、前になります。
「これはどういうことなの?」
と調べてみれば、この「右前」ですが当時の日本の認識だと……
を表していたのだそうです。
つまり、「右前」という言葉は「右側を先に着てくださいね」という意味だったのです。ややこしいですけど、聞いてみるとなるほど! となりますよね。
「右を前に=右を先に」
なので、右側から着て、その後に左側を着る。これを「右前」と呼ぶのだそうです。
浴衣の時は下着を穿かないってホント?
ちょっとした疑問。下着もそうですが、肌着・シャツなど。浴衣の下はどうしたらいいのか解らない事も多いですよね。
特に下着はよく、着物の場合は穿かないなんてことも言われます。
でも実は……
浴衣でも下着は穿きますし、シャツも着るのです。
元々「浴衣で下着を着ると色が透ける」「線が出る」「恥ずかしい!」という考えから広まったこの“浴衣の時に下は着けない”ですけれど、でも、普通に考えて何も着ていないほうが恥ずかしいのではないでしょうか。
また旅館などでは寝間着の意味もありますので、浴衣の下にシャツなどを着る事も普通だったりします。何より無防備な姿で、旅館を歩き回ったり食堂などに行くのは勇気が必要ですよね。
なんとなく広まりがちなこの「下着を着けてはいけない」という浴衣の常識。これは……
と覚えておきましょう。
また聞いた話なのですが、昔の人も下着にあたる物は着用していたようです。今とは形や用途こそ違えど、和服であっても、下着や肌着を身に着けるのはやはり普通の事みたいですね。
浴衣の着方<男性編>衿はどっちが前? まとめ
いかがでしたか? 実際「右前」という言葉はかなりややこしいですよね。
「右前だよ」と言えば普通「えっ。右側が前なの?」となります。
言われてみれば昔の言い回しなのでなるほどな、と思わされますが、現代日本ではなかなか理解されない表現なので注意が必要です。
また、当たり前ですが下着はちゃんと着るようにしましょう。浴衣で椅子に座ったり床に座ったりしていると、簡単に裾も衿も乱れがちです。
恥ずかしい事にならないようにだけ注意してくださいね。