「1年の季節の中で、日没の時間が一番早い日はいつですか?」
あなたはこう問われて、どう答えますか? 私は中学の時、理科の授業で「冬至です」と答えて間違った経験があります。
理科の先生が誰もが間違う質問をして、私が間違ったことで皆の注意を引こうとしたのですが、この経験から、私は夏至や冬至、太陽を含めた天体に興味を持ちました。
自信をもっていた答えなのですが、冬至ではないのです。その理由がどうしてなのか? 今回の記事を読んで理解してみてください。
目次
2016年の冬至は何月何日?日の出・日の入りの時間は?
ズバリ! 今年の冬至について
今年(2016年)の冬至は……
12月21日
になっています。
冬至は1年で昼間の時間が最も短くなる日ですが、代表的な都市の、今年の冬至の日における日の出と日の入り時刻を下にまとめてみました。
左が日の出の時刻、右が日の入りの時刻です。
(仙台)6:49 16:20
(東京)6:47 16:32
(大阪)7:01 16:51
(福岡)7:19 17:14
冬至や夏至は、地球が太陽の周りを回る「公転」と、地球自身が回る「自転」から、複雑な計算をして設定されます。
ですから、冬至や夏至の日は、年によって何日かのズレが生じますし、昼間の時間の長さも年によって違ってきます。
夏至と当時の時間差は?
それでは、1年で昼間の時間が最も長くなる夏至と、最も短い冬至では、昼間の時間差は実際どれくらいなるのでしょう。
東京都における2005年から2014年までの10年間の時間差を次のように計算したデータがあります。
計算の結果、夏至と冬至の間には4時間50分13秒の時間差がありました。
約5時間。結構大きいな差ですが、生活の中では、季節における夕方の雰囲気によってこの差を実感できますね。
冬至の日に撮影されただるま夕日の動画です。綺麗で季節を感じさせる作品なので、是非こちらも見てください!
▼だるま夕日- 2009-12-22
そもそも冬至ってどんな日?
冬至、夏至のよくある勘違い
冬至は1年で最も昼間の時間が短い日。しかし、日の出が最も遅く、日の入りが最も早い日ではないことを知っておきましょう。日の出の最も遅い日は、1月上旬で、日の入りの最も早い日は12月上旬となります。
太陽の高度が最大になるのが夏至で、最小になるのが冬至です。日の出・日の入りの時刻で夏至や冬至が決まっているのではありません。
実際は、夏至や冬至の前後は、日の出、日の入りともに徐々に遅くなってしまいます。
これは、地球の公転軌道が楕円形になっていることと、地球の自転が、公転面(地球が太陽の周りを回っている平面的空間)に対して傾いていることから生じます。
当然、場所によって日の出の時間は違います
ここで、先に示した、冬至における札幌と東京の日の出時刻に注目してください。
東京は6:47
です。
日の出や日の入の時刻は、東よりも西の地域のほうが遅いと考えるのが普通ですが、冬至の頃は、南東から順に日の出を迎え、夏至の頃は、南東から順に日の入を迎えます。
この理由から、札幌は東京より東にあっても日の出の時刻が遅くなっているのです。これも地球の公転と自転の複雑な動きから生じることです。
冬至の風習をおさらいしよう!
冬至には別の呼び方がある
冬至は別名
一陽来復
と言われます。
「1つしかない太陽の力が復活する」という意味です。
冬至には、昔から無病息災を祈る風習がありますね。冬至にかぼちゃを食べたり柚子湯に入るといった風習です。
有名な2つを深掘りして解説
かぼちゃは、食物繊維などをバランスよく含む栄養価の高い野菜です。身体を温めて抗酸化作用や免疫力をUPさせる働きがあり、風邪予防に効果的です。
昔は、現代のように1年中様々な食材が手に入る時代ではなかったので、寒い冬至の時期には野菜がほとんどありませんでした。夏に収穫され長期保存が効くかぼちゃは、冬の栄養食材として大事にされたのです。
冬至に柚子湯に入る風習も有名ですね。柚子皮には血管を拡張して血行を促進する効果があり、これで体がポカポカになるのです。柚子の香りにはリラックス効果があり、強い香りは邪気を払うとされます。
さらに日本では、冬至に「ん」のつくものを食べると「運」が呼び込めるという風習もあります。にんじん、れんこん、ぎんなん、きんかん、うどんなどが縁起物として食べられます。
かぼちゃも柚子も「ん」の食べ物も、「冬至を境に日が長くなるにつれ、運気も高まれ」という願いがこもった食べ物なのですね。
冬至の日の出・日の入り、風習について まとめ
いかがでしたでしょうか? 「1年の季節の中で、日没の時間が一番早い日はいつですか?」と問われて、「冬至だ」と答えるのは間違いだということが、お解りいただけましたでしょうか?
冬至の日がいつかとか、冬至における日の出や日の入りの時刻を理解するためには、地球の自転と公転の複雑な動きを理解する必要があります。
理科的に正確な理解をするよりも、冬至を過ぎて徐々に日が長くなっていく日常の抒情や、冬至の風習を楽しむことで、1年で一番日が短い季節を乗り切りたいものですね。